住宅/ビル/マンションのデザイン建築設計事務所をしている片岡直樹が向学のために名建築を訪ねるシリーズです。
東京都豊島区池袋にありますhotel Siro(ホテルシロ)池袋(ホテル&グランピング)です。
職員の方の許可を頂いた範囲で撮影させて頂きました。
設計は、原田真宏先生 原田麻魚先生/マウントフジアーキテクツスタジオです。
新建築 2021年2月号に発表されています。
エントランス 道路から
両となりは、普通の構成のホテルです。
普通のホテルは、内部のうかがい知れない壁がちなファサード、口ビー奥のフロントで受付けて、エレベータホールへと流れてく構成です。
向かって右手のホテルは、hotel Siro(ホテルシロ)池袋の後に竣工したホテルです。
このホテルの設計はそんな常識とはまったく違う構成でおどろきました。
1階エントランス前
両となりの建物が、前面道路からセットバックせずに、前面道路いっぱいに斜線制限を使って制限いっぱいに建てているのがわかります。
この場合、マウントフジアーキテクツスタジオさんのようにセットバックして天空率を使って柱を倒さずに基準階プランを増やした方が、面積がいっぱい取れると思うのですが、なぜ、両となりは斜線制限を使っているのかわかりません。
階段がフロント受付と無関係に自由に出入りできる構成です。ホテル設計の常識を打ち破っています。
1階 鋼製框戸
純ラーメン構造で、前面と側面は全て鋼製の引戸です。
全面建具は建築の外まで引き出せるため、開口は完全開放となります。
ホテルで見たことが無い開放的な仕様です。
採光や眺望を望めない方向に目隠し塀をもうけずに、サッシを全面開放する構成がどうなるのか、初めて見た事例です。
勉強になります。
床割栗石
モルタル金ゴテ押え撥水剤
開口部 アルミサッシ(YKK AP)スチール サッシ(YKK AP)
写真左手からエントランス エレベーター前 無人受付カウンター
什器 ヒノキ正角材 90mm 高透過ガラス t=10mm
天井:天然木デッキ材(池上産業:アコヤ)
カフェ レセプション
客席 床 モルタル金ゴテ押え撥水剤
壁:PB AEP塗装
天井:天然木デッキ材(池上産業:アコヤ) 珪酸カルシウム板の上、補修材デッキプレート現し
1階厨房
床:コンクリートの上、塗床材(エスケー化研: SKスペシャルフロアー)
壁・天井: 化粧酸カルシウム板
屋外避難階段が道路に飛び出ているような感覚になります。
多くの飲食店の他に風俗店やラブホテルも入り混じる池袋の歓楽街の街並みを眼下に眺め、強いスリルと刺激をもって旅のホテルを楽しめます。
まさに都内有数の都市を感じることができるホテルです。
4階エレベーター前
外廊下 外階段 外エレベーターホールというホテルの構成としての常識を飛び越えた設計です。
7階階段
スラブから2360階段が道路側に飛び出ています。
縦桟手摺が都市にひらかれた刺激とスリルをさらに高めます。
鉄骨階段:ささらは床スラブ小口を費通し 本体鉄骨とボルト固定
貫通部塞ぎ板: St t=3.2mm 溶融亜鉛めっき
8階 エレベーター前から屋外避難階段
手摺り: St FB 12✕44mm 溶融亜鉛めっき
手摺り子: 丸鋼∅=19mm@129mm 溶融亜鉛めっき
脚部はささら内面に現場溶接
ささら: St t=12mm 溶融亜鉛めっき
踏み板+蹴込み板: St t=4.5mm曲げ溶融亜鉛めっき 踏み板仕上げ: ゴムマットt=15mm(ミヅシマ工業 myゴムマット)
10階EV横
セットバックした上階がより高層の屋外であることを感じます。
縦桟手摺で床しか無いようなスリルがあります。
屋上にはグランピングができるスペースがあります。
屋上床:WPCデッキ材(IOC:コーラルリーフ)
屋根 :コンクリートの上、塗膜防水
軒裏:珪酸カルシウム板の上、補修材高圧木毛セメント板(タケムラ工業:TSボード)
外壁 : 押出成形セメント板(アイカテック建材: Soji BasicⅡ)
ALCの上、水性アクリル塗装 エキスパンドメタルXS73 コンクリート打ち放しの上、撥水剤
10階廊下 客室から一歩でると外です。
廊下の床に避難ハッチがあります。
モルタル金ごて押えのドレンゲッターが、狭い廊下を広く一面に見せていて効果的でかっこいいです。勉強になります。
外壁:ECP押出成形セメント板縦張り保護塗料
外壁(床スラブ小口):鉄筋コンクリート打放し撥水剤
軒天(下地側):左官材
珪酸カルシウム板t=6+6mm LGS
軒天(みえがかり側):高圧本毛セメントt=15mm 銅製下地
手摺:St FB 12x44mm 溶融亜鉛めっき
手摺子:丸鋼∅=19mm@129mm溶融亜鉛めっき
排水溝蓋:ドレンゲッター モルタル金ゴテ押え 撥水剤
外部床:モルタル金ゴテ押え撥水剤 塗膜防水
客室
撮影ができませんでしたが、プラン構成に特徴があります。
普通のホテルは、窓のない中廊下を歩いて、耐火仕様の鉄扉を開けて、水回りユニットとクローク脇を抜けて、ベッドルームと外壁窓という構成です。
hotel Siro(ホテルシロ)は、廊下と寝室の間は、廊下側からガラス框戸・太鼓障子・土間という構成で、客室構成が逆になっています。
入り口側にベッドルームがあり、外壁側がトイレ 浴室となる水回りがあります。
土間:コンクリート撥水剤
寝室床:ヒノキフローリング (ウッディワールド)乾式二重床
天井埋込カーテンレール
スチール製2重片引き戸(電気錠制御) ウレタン塗装
3枚建て太鼓障子 ワーロン紙張り
階数 地上10階
最高高: 30,928mm
軒高 :30,122mm
階高 :2,905~3,420mm
天井高 :寝室:2,200,2,430mm/浴室: 2,200mm
主なスパン 4,700×6,420mm
hotel Siro(ホテルシロ)池袋(ホテル&グランピング)
所在地: 〒171-0014 東京都豊島区池袋2丁目12−12
電話番号: 03-5985-4686
URL:https://hotel-siro.jp/