住宅/ビル/マンションのデザイン建築設計事務所をしている片岡直樹が向学のために名建築を訪ねるシリーズです。
山梨県忍野村にあります富士湧水の里水族館(ふじゆうすいのさとすいぞくかん) です。
職員の方の許可を頂いた範囲で撮影させて頂きました。
設計は、トライポッド・アーキテクツ+飯田都之麿先生+湯沢誠先生です。
1997年にコンペが行われトライポッド・アーキテクツ+飯田都之麿先生+湯沢誠先生が選ばれています。
忍野八海周辺の豊かな水資源を背景とする淡水魚専門の水族館です。
淡水魚専門の施設となる珍しい水族館です。
水族館というと、大手ゼネコン設計部や組織設計事務所による集客のための巨大テーマパークのような水族館が多いですが、アトリエ系設計事務所が設計した公共建築事例として大変興味深く、勉強させて頂きました。
新建築 2001年8月号に発表されています。
エントランスへのアプローチ
片岡は大学時代、学科が海洋建築工学科というすこし変わった建築系学科でした。そのため、設計課題で水族館の設計がありました。
西側ファサード近景
手前の池は1階床レベルより水面が高く設定され、断面水槽によって、水中の様子が見えるようになっています。
SUS304-φ=12㎜RB M12テンショングリッパーSUSロストワックス
複層ガラスt =8+8㎜ 溶融亜鉛メッキの上塗装St t=9.0㎜
アクリル板t=85㎜
アクリル・ガラス取り合い断面詳細
M12テンショングリッパーSUSロフトワックス 複層ガラス t=8+8㎜
1階展示室より断面水槽方向を見る
水槽は85㎜のアクリル板がもちいられています。
吊具よりも上は複層ガラスです。
エレベーターホール
床の一部がガラスとなり、床下に池の魚を眺められます。
床 イペ材フローリングワックス仕上げt =15.0㎜
壁 天然木化粧板(サクラ) t=6㎜コンクリート打放しの上EP
天井ワイヤーメッシュ天井(5φ)
二重回遊水槽と外の池の横見水槽
水槽のレベル高さが外部と内部で変えられています。
1階展示室内、二重回遊水槽の外周側からの見通し
水槽の中に通路と階段があります。
1階 展示室 左は流水水槽 右手は2重回遊水槽
展示室がスロープになっています。
1階流水水槽前より見る、二重回遊水槽越しの風景
楕円形の水槽はその円周内にも入ることができます。
不要な間仕切りをなくしてアクリルと水だけで囲んだ空間
水槽を通してその先の展示室がみえることで、空中を魚が泳いでいるように感じられます。
1階2重回遊水槽内周の回廊
構造は1階が鉄筋コンクリート造、2階が鉄骨造です。
細い鉄骨が2階を明るい空間とし、コンクリート造となっている1階の採光に貢献しています。
2階屋根を支える構造体
ガラス面を傾斜させていることがわかります。
水槽を上から眺めることができます。
2階ではガラス越しに見える緑を生かすため、構造体やディテールが、最小限とされています。
1階と2階では室内の雰囲気が異なる設計となっています。
外部の水面を断面から眺める水槽、2階からは水槽を上から眺め、水槽が2重となり中から眺められるなど様々な視点から眺めることが試行されています。
床 イペ材フローリングワックス仕上げt =15.0㎜
壁 イペ張り t=12.0㎜ コンクリート打放しの上EP
天井 ワイヤーメッシュ天井5φ
西側ファサード
外壁はイペ材が用いられています。
2階はガラス面に傾斜と曲面があります。
上方に傾斜させることで、雲の景色がガラス面に映ることをねらっているそうです。
パノラマスクリーンによる2階シアターホール
2階屋外 デッキ
外壁外部仕上げ
屋根 フッ素鋼板 t=0.5㎜立てはぜ葺き
外壁 コンクリート打放し+イペ材(ブラジル産) t=12.0㎜
開口部 アルミサッシュ(3次電解仕上げ)複層ガラス(8㎜+8㎜)
南側外観
池の周りが散策路になっていて2階屋外デッキと階段でつながっています。
滝となって放水されている豊富な富士の湧水
さかなの泳ぐ池越しの横見水槽方向の眺め
透明度が高いので、さかなの泳ぐ姿がはっきり見える池越しのエントランスホール側
富士湧水の里水族館
所在地: 〒401-0511 山梨県南都留郡忍野村忍草3098−1
営業時間:9時00分から18時00分 (7月~9月)、 9時00分から17時00分 (10月~6月)
定休日/休業日:毎週火曜日(祝日の場合は翌日) 12月28日~1月1日
入館料:大人420円、中小200円(団体大人340円 中小170円)
駐車料金:無料
電話番号: 0555-20-5135
上記は、2024/6/20の情報です。詳しくは富士湧水の里水族館のホームページをご覧ください。