コンクリート打放しデザイナーズマンション
新宿区市ヶ谷のコンクリート打放しデザイナーズマンション新築建替え建設事例です。
1mの高低差のある前面道路は、牛込中央通りから北へゆく坂で、江戸時代に坂名がついた歌坂といいます。
歌坂(うたさか)
雅楽(うた)坂ともいいます。江戸時代初期、この坂の東側には酒井雅楽頭(後の姫路酒井家)の屋敷がありました。(新添江戸之図)
坂名は雅楽頭(うたのかみ)にちなんで名付けられたのであろうと道標にしめされています。
エントランス
1階床はコンクリート洗い出し仕上がピロティ エレベーターホールへと連続しています。
目地深さ50mmの深目地のコンクリート打放し壁が、コンクリート洗い出し床との取り合いで、縁をきり浮いてみえるようにしています。
コンクリート洗い出し仕上は、江戸時代の歌坂、牛込神楽の歴史や和のイメージに沿うマテリアルです。
また、コンクリート打放しに合わせた仕上の選択としています。
ファサードディテール見上げ
給湯器 給湯排気管 エアコン室外機 隔て板をコンクリート打放し壁で隠しています。
溶融亜鉛メッキアングルフレームで浮かしたバルコニーガラス手摺は、最大スパン2100mmを浮かしたディテールとしています。
ピロティ
天井はフレキシブルボード、壁はコンクリート打放化粧仕上、床はコンクリート洗い出し仕上とセメント色で統一しています。
フレキシブルボードとは
繊維強化セメント板の一種で、セメントと補強繊維を原料に高圧プレスで成形した不燃材です。
このピロティは、避難通路で、さらに防火区画に面しています。
そのため、右手の物販店舗ドアは電気錠付き特定防火設備仕様になっています。
1階エレベーターホール
床コンクリート洗い出し仕上から、コンクリート打放し仕上の壁が浮いて見えるように、50mmの深目地をとっています。
その50mmのコンクリートフカシで、ステンレスヘアーライン仕上の掲示板や自動火災報知設備やエレベーターのスイッチプレート類など、壁に取り付く設備を面落ちさせて目だたないようにしています。
3階エレベーターホール
床はコンクリート金ゴテ表面強化剤仕上
壁はコンクリート打放し化粧仕上
天井はフレキシブルボード
フレキシブルボードとは、セメントと補強繊維を原料とした不燃ボードの一種です。
床・壁・天井と空間全てをコンクリート セメントの無彩色で統一しています。
洋室
各部屋の詳しい紹介をブログページでしています。ご覧頂ければ幸いです。
トップライト
住居系用途地域では、商業系用途地域に比較して、採光条件が厳しいのでおおきな窓が必要です。
前面道路に面しない部屋で、なおかつ、敷地面積いっぱいに建てられたマンションは、下階の採光補正係数が非常に厳しくなります。
日影制限・高度斜線制限のボリューム検討プランの試行錯誤で、一番面積ロスの少ない部分にトップライトを設けています。
また、延焼ラインにかかるので防火設備仕様の窓が必要です。トップライトは、防火設備仕様ではなく30分耐火仕様になります。
洋室
白い壁は外壁に面した壁です。内断熱発泡ウレタンt45 プラスターボードt12.5GL工法 準不燃ビニールクロス仕上です。
コンクリート打放し仕上壁は、境界壁です。
境界壁にはコンセントボックスなど遮音性をそこなうものは何も打ち込まれていません。
Pコンフックが2列お好きな位置に取り付けられるようになっています。
洋室
両袖壁のないスッキリした窓です。
壁が柱の役割をする壁式構造では、構造上必要な壁と室外機・ガス給湯器など室内外をつなぐための設備用壁の2つの壁が必ず必要になります。
このような壁の無い窓をつくるのは、難易度が高くなります。
耐力壁高さを構造計算上最小にして、下部壁を設備壁として、サッシライン上でかつ窓外の位置になるようにかくれた袖壁を設けています。
耐力壁高さを構造計算上最小にできるのは、上階と連続した耐力壁とできる平面計画としたことが影響しています。
コンクリート打放し壁には、Pコンフックが2段お好きな位置に取り付けられるようにしています。
バルコニー
コンクリート打放し仕上壁は、ファサードから給湯器 給湯器排気菅 エアコン室外機 冷媒管 吸排気フード 隔て板をかくす役割をしています。
ファサード面の壁はキャンティレバー(片持ち梁)上の雑壁です。サッシラインのコンクリート壁が耐力壁になります。
キッチン
コンクリート打放し化粧仕上の壁は境界壁です。
遮音性を損なわないようにするため、コンセントボックスなど壁厚をそこなうものは一切埋め込まれていません。
リモコン コンセント 照明 電気配線は、天井内を経由しています。
洋室
Gタイプのお部屋は、洋室の両側の壁がコンクリート打放し仕上の壁の部屋です。
洋室
Bタイプのお部屋は、長いコンクリート打放し仕上壁があります。
バルコニーのある窓辺と道路に面した床から天井までの窓と2つの窓辺が楽しめます。
キッチンから洋室への眺め
北側の大きな2連サッシは、採光面積確保のための窓です。
斜壁のあるキッチンスペース
この建物は、四隅に柱の無い鉄筋コンクリート壁式構造です。
斜壁は、柱の役割をしている重要な部分です。
斜壁は上階と下階の構造軸線を直線でつなぐことで、上階の荷重を下階につたえています。
洋室からカウンターキッチン方向の眺め
東 西 北の3面に窓のあるお部屋です。
キッチンスペース
高度斜線制限と日影規制によるシュミュレーションで、床面積を最大に確保するため、斜壁が北側と東側にあります。
屋上とバルコニーの二つの窓辺がある洋室
高度斜線制限と日影規制によるボリュームシュミュレーションをおこない床面積を最大化しています。
この敷地は、第一種中高層住居専用地域と近隣商業地域の2つの用途地域にまたがっていて過半が第一種中高層住居専用地域の住居系地域です。
日影規制の無い近隣商業地域側に建物ボリュームを確保して、日影規制がある第一種中高層住居専用地域はおおむね屋上となっています。
屋上
ガラスルーバーの道路向かいの建物は、法政大学市ヶ谷田町校舎です。
屋外フードベントキャップは、昨今、地球温暖化の影響もあり、暴風 ゲリラ豪雨など耐候性が厳しくなっています。
そのため、現在の知見からの判断では深型フードとするのが主流です。深型フードが大型化しているため壁面からの突出が大きくなり見栄えの良いものではありません。そのため、コンクリートフカシを大きくとり面落ち深さを深くして出っ張りが小さくなるように工夫しています。
物販店舗道路側窓方向の眺め
コンクリート打放し化粧仕上で見えている部分は、壁柱と梁の部分です。
壁柱がXYの直交方向につくられています。
鉄筋コンクリート造壁式構造の場合、柱が不要になるかわりに壁柱が必要になります。
物販店舗事務スペースから在庫ストックスペースへの眺め
1階で柱間隔スパン7200mmをとばしています。
一部をスチールパーテションの間仕切りで独立空調の部屋をつくっています。
将来レイアウトの自由度を確保しています。これは、賃貸に出した場合でも、無柱大空間を確保しているので競争力のある間取りとなります。
物販店舗応接スペースからの眺め
この建物は、日影制限のある中で最大床面積を確保するために、階高につよい制限がかかっています。
そのような条件下で、天井高さを最大限確保するため、道路傾斜1mの部分を埋め、平均地盤面を利用して高さを稼いでいます。
さらに 天井をコンクリート打放し化粧仕上として、躯体を露出することで天井高さを稼いでいます。
物販店舗全景
木目調扉と白い壁の部分は、スチールパーテーションで仕切られた会議室です。
遮音プライバシーの配慮の為、吸排気ダクト+独立空調となっています。
梁底天井で天井高さ2400を確保していますが、ダクトをなるべく壁際にレイアウトすることで圧迫感のないようにしています。
夕景ファサード
歌坂からの見上げ
ピロティ
足元灯がコンクリート洗い出し仕上の床のマテリアルを浮かび上がらせています。
計画時のイメージパースをブログにアップしています。
ご覧頂ければ幸いです。