住宅/ビル/マンションのデザイン建築設計事務所をしている片岡直樹が向学のために名建築を訪ねるシリーズです。
ROOFLAG (ルーフラッグ)大東建託賃貸住宅未来展示場は、 江東区にある大東建託のショールームです。60M*50M*34Mの三角形の大屋根を直交集成材CLTで架構した施設です。原田真宏先生+原田麻魚先生と 国際的な総合エンジニアリング・プロフェッショナルサービス企業 Arup オーヴ・アラップ・アンド・パートナーズ社 による設計です。国産杉材をCLT工法に大規模に適用した建物です。
アトリウムの大空間の空間体験に感動しました。
北側のCLT大屋根とガラスカーテンウォールと木毛セメント板の壁が集まる部分です。
先端はCLTの梁せいが高さ2300あるので、意匠的には点で集まる納まりに見せていません。
大迫力のCLT大屋根とスレンダーな方立てマリオンの大空間です。
素晴らしいです。
ちなみに、施工は東急建設さんで現場でBIMを利用しているそうです。
『ROOFLAG×東急建設×BIM』youtubeがあります。
大迫力の素晴らしいアトリウムエントランス方向の眺め
CLT大屋根の勾配が上がってく方向です。
アトリウム西側ラーチ合板コンクリート打放仕上げの4層壁が見えて大空間を感じます。
なぜ木をむきだしで使うことができるの ? 火事は大丈夫?|耐火性能検証法
耐火性能検証法(令108条の3 1項1号)(平12建告1433号)により、天井を高くして大きい空間とすることで、火災時に熱がこもりにくくする対策を講じると、梁を木材(小径200mm以上)のあらわしで用いることが可能になることを用いていると思われます。
2,3階の床スラブがポストテンションスラブとなっているそうです。大屋根が乗ることでコンクリート躯体の4階建て部分とガラスカーテンウォールマリオンが開いていくのを防ぐ役目と座屈防止効果があるのでしょうか。
ここは埋め立て地なので孔内水位は高いのではと思います。掘り下げた理由がわかりませんが、 アトリウム床面が階段席になっています。 なにか理由があるのだと思います。
CLT大屋根がコンクリートのボリュームに乗せられ、先端で大きく荷重を負担しているのでしょうか。そのためのコンクリートボリュームに見受けられます。
南東からの光が、CLT大屋根とラーチ合板コンクリート打放し4層の間にあるスリットから入っています。
素晴らしい空間体験です。
写真正面は、ラーチ合板打放仕上げの壁面、左手は木毛セメント板の壁、床はコンクリート金鏝仕上げの同じグレーのトーンが重なっています。
床と壁の間は大きなスリット溝があります。構造上の縁が切れているのでしょうか。床スラブは剛床仮定が成立して反対側のガラスカーテンウォールマリオンと同じスラブ上にあり拘束されているのではないでしょうか。わかりませんでした。
3階セミナースペースの開口からのCLT大屋根の眺めは床までガラス面がありアトリウム内観を眺めることが出来ます。
大断面のCLT大屋根と細いガラスカーテンウォールのマリオンのコントラストが素晴らしいです。
CLT大屋根と木毛セメント板の壁
南面から入る水平スリットからの光が木毛セメント板に差します。
このガラスカーテンウォールマリオンは、CLT大屋根の鉛直荷重も支持していると思われます。これだけ細いとインゴットでしょうか。スゴイ細長比のように見えますが、途中にスラブと横材トランザムの座屈防止材が入って拘束されています。
このアングルで写真を撮るとパース以上に傾斜が効いていて面白いです。
頂部のガラスカーテンウォールとCLT大屋根、コンクリート4階建て部分の納まりが見えます。
マッシブなコンクリートが乗った凄いキャンティレバー片持ち梁構造表現です。
素晴らしいです。
南西面のガラス開口部の下面には、強い傾斜がつけられた コンクリート打ちっ放しを強調するデザインで 、水切りが無い納まりとなっていす。
北西面の大ガラスカーテンウォールファサードと下りてくるガラスとポリカーボネイトのCLT大屋根を上から見ることが出来ます。
屋根面の雨水集水口から2本出しの樋があります。
2300の梁せいがあるCLTの妻面を隠すように縦ハゼの鋼板が破風板の仕上げとなっています。
3階北西部のアトリウムへのホールからCLT大屋根の眺めは、迫力のあるCLT大屋根を近くに感じられて素晴らしいです。
これだけ北側開口部が大きくて、なおかつ天井が傾斜しながらの大空間吹抜けで、熱だまりになりやすい3階に居ても1階と温熱環境が変わらないように感じました。なにか凄い工夫があるのでしょうか。
ラーチ合板コンクリート打放し仕上げの壁
とても荒々しい仕上げのラーチ合板コンクリート打放しに、ガラスが繊細に飲み込まれたディテールのコントラストが素晴らしいです。
床:コンクリート打放し金鏝仕上げ、壁:ラーチ合板コンクリート打放し仕上げ、木毛セメント版と3つのグレーの同じカラートーンの重なりがあります。
地下部分へのスロープ前に広くて浅いグレーチングがあります。集水効果が高いのではと思います。初めて見ました。勉強になります。
あまりにも巨大な破風板の縦ハゼ鋼板なので、パッと見たときになんだかわかりませんでした。すごいです。
CLT大屋根のディテールです。
部材を接合する節点(ノード)に使用するコネクタ はストローグ製CLTコネクターが使用されているそうです。接合部木材の欠損が少ない利点があるそうです。埋木がされて接合金物が見えないようになっています。
直交CLT材はH2300W270、斜CLT材は、H2300W210。
木毛セメント板の横目地を大きく開けて下地のLGSが見える仕上げとなっています。木毛セメント板に厚みがかなりあり、目地深さもあるディテールです。大空間で大きく目地を見せている手法で下地LGSも普通に仕上げとして見えると、どうなるのか興味深く拝見させて頂きました。勉強になります。
もしかすると壁内空調のスリットなのかもしれません。
コンクリート打放し、中空セメント板、セメント板立ち上がりコンクリートモルタル金鏝仕上げ、傾斜路の真空コンクリートと同じグレーの仕上げが4種類重なります。
見学につきまして
ROOFLAG賃貸住宅未来展示場
東京都江東区東雲一丁目4-1
下記の情報は2021年1月12日に収集した情報です。
ROOFLAG賃貸住宅未来展示場は完全予約制です。
こちらのリンクをご覧ください。
https://www.kentaku.co.jp/rooflag/visit/
今回は、現地の案内役の方の他に、共通のお施主様のお付き合いのご縁がある大東建託様には、休日の土曜日に支店営業の方がROOFLAGまで出向いて頂いての同行を頂き、さらに、お土産まで頂き、大変恐縮しきりでした。
あらためまして、お礼申し上げます。大東建託様ありがとうございました。