住宅/ビル/マンションのデザイン建築設計事務所をしている片岡直樹が向学のために名建築を訪ねるシリーズです。
大村美容ファッション専門学校は、福岡県福岡市中央区に立地する美容系の専門学校です。
西のポストモダニズムの巨匠、高松伸先生による設計です。
1998年の作品ですが今見てもインパクトがすごいです。外観のみの見学です。
新建築1999年3月号に発表されています。
遠くかでもファサード全景が見わたせます。福岡市街 旧城跡の大濠公園にむかって絶大なインパクトで建っています。
楕円の中のガラス建具はダブルスキン構造でインナーガラスはスパンドレルのあるアルミカーテンウォールです。
アウタースキンは上下方向に凸型に湾曲したDPG工法になっています。
楕円のアルミパネルは凹面状にRがつけられていてとても複雑なデザインで、すばらしいです。
丸の部分と直線が3階部分で一番くびれています。
R付アルミパネル t2 焼付塗装です。
アウタースキンMPG工法のガラス面とアルミパネル取り合いはシールがされています。
高松伸先生特有の金属デザインがかっこいいです。
金属デザインにDPGを外部から留めるデザインがふくまれています。
この建物は新建築さんのデータを見るかぎりでは、延べ床面積が1632.88㎡とあります。1500㎡を超えているので、ガラスカーテンウォールのスパンドレルは必須です。
スラブラインの他に梁下ラインでの分割線があるデザインになります。
楕円形状に合わせて屋根にRがつけられているだけでなく、2階 3階部分がくびれています。
そのため柱も斜めに倒されています。
凄いです。
ガラスカーテンウォールDPG工法のアウタースキンでなく下層階で見えているシングルスキンのラインが法令上の全体の外壁ラインなのだと思います。
層間フサギが無いデザインで、インナースキンとアウタースキンの間のメンテナンスデッキもないデザインです。
見上げた時の、透明感がすごいです。
大変興味深く、勉強になります。
最近、片岡はオフィスビルの計画で、ダブルスキンを検討しています。
アウタースキンを飾りと割り切って雨仕舞をしないディテールで設計する考えもあるようですが、この建物では、アウタースキンでシールされています。
楕円内部のインナーガラスはアルミカーテンウォールにしないで、告示仕様のスチール枠として大きなガラスで透明に見せる方法もあるようです。
現在では、ガラスにも省エネ性能が求められるのでインナースキンのガラスは複層ガラスになると思います。
インナースキンとアウタースキンの間もとても狭いです。
この通路は、避難階段から道路に通じる避難通路と思われます。
プランを見ますと、敷地から避難できる道路は、前面道路だけです。
避難通路に面する壁面部分は防火区画ラインなので、開口部は防火設備仕様でなく特定防火設備仕様だと思うのですが、ここでの解釈は違うようです。
なにか特定防火設備仕様でないガラスカーテンウォール壁で許可が下りる方法があるようです。
1階正面部分にあえて入口をもうけずに、FIXのガラスカーテンウォールをみせて、さらに倒れる柱をアルミパネルで巻いてみせています。
この建物は、階段を2つ設けて、ファサードデザインで避難バルコニーの不要なプランとしています。
消防進入口のみ設けられています。
大村美容ファッション専門学校
住所:福岡県福岡市中央区黒門2−6