
住宅/ビル/マンションのデザイン建築設計事務所をしている片岡直樹が向学のために名建築を訪ねるシリーズです。
宮城県富谷市にあります『SYNEGIC office/シネジック新社屋』です。
職員の方の許可を頂いた範囲で撮影させて頂きました。
設計は、長谷川欣則先生+堀越ふみ江先生です。
新建築 2019年10月号に発表されています。
木造用ビスメーカーシネジックさんの新社屋です。
見たことのない、美しい木造架構の屋内空間に感動します。

2階 事務室
屋根はトラス間に厚さ90mmのCLTがビス打ちされています。
形の異なる平面トラス 上弦材105*240mm下弦材105*180mmの集成材 それぞれ異なる傾きをもって頂点から線対称に配置されています。

1階 ホール

2階会議室
平面トラスとCLTパネルのビス接合による三次元スペースフレームが、天井からおりてくる様子を近くで見ることができます。

ホール

ラウンジ
窓台:シナ合板 小口:ツガ30*30
パネルヒーター/ピーエス暖房機

サブエントランス
柱:105*105 外壁柱・梁:H75*150耐火被覆

サブエントランスから廊下への眺め
上弦材を直線ではなく凸状に3分割することで、下弦材を持ち上げてトラスの力学的効率性を確保して、2階床から下弦材までの高さに余裕を持たせる構造となっているそうです。
一時間耐火壁:CLT t150燃え代45mm両面H27年国交省告示253号

サブエントランス
床:モルタル 防塵塗装

見本室
屋根頂部接合部:真束105*105 M25両端逆ねじ 丸鋼Φ=36mm stPLt1.6
トラス斜材90*90CLT取付ガイド ヒノキ角棒30*30 パネリードP5-90@300mm 斜材とビス留め
トラス下弦材105*180 引きボルトM20L300 各座金PL9*70*70 角材60*60パネリードP6-100Ⅱ 2本留め

会議室
パネルヒーター/ピーエス暖房機
手摺:ST FB9*50 手摺子:ST FB9*50 セランガンバツ20*50

会議室
東西の外壁面に木造トラスをベースとしたシェル構造になっています。
長辺方向約39m×短辺方向約18mの無柱空間です。
高度な設計技術による木造軸組みの機能美が素晴らしいです。
床:セランガンバツt20鋼製束
1時間耐火床:PBt12.5 根太合板t28 梁105*240 強化PBt12.5 平成27年国交省告示第253号

中2階 会議室から事務室をみる
トラス下弦材下端高さ2800~5000mm 事務室は1200~3750mmと場所ごとに天井の高さが異なります。天井はCLTパネルと天井仕上材の施工上の複雑な取り合いを避けるため105*105mmの繋ぎ母屋と105mm幅のアカマツ小幅板と材を細かくして15mm目地を取って上部から固定されています。母屋材と小幅板の厚みの差部分に吸音材を入れています。

南側外観
屋根:銅板t0.35mm一文字葺き 粘着工法パーフェクトルーフ/ダイワムカイ

西側外観

北サブエントランス側外観
応力を3角形CLTパネルに集約して、パネルとそれに沿った直線材を線状にビス留めすることで、合理的な応力伝達になっているそうです。

屋根ディテール
継手や仕口は、ほぞ差し+ビスのせん断接合や引きボルト接合などの簡易な接合で構成されているそうです。

電気機械室

電気機械室

東側屋根
屋根稜線が直線で、4枚のねじれ曲面を持つ屋根で構成されています。

応接室1

エントランス外観

北側外観
地域地区:近隣商業地域 防火地域指定:準防火地域
構造:木造(軸組工法・CLT工法)一部鉄骨造 準耐火建築物(ロ準耐)

北側外観
直線材によるトラスフレームがつくり出すなだらかなで複雑な表情の屋根曲面が素晴らしいです。

北側外観
シネジック株式会社
URL:https://www.synegic.co.jp/
住所:宮城県富谷市成田1丁目5−9
電話番号:022-351-7330