住宅/ビル/マンションのデザイン建築設計事務所をしている片岡直樹が向学のために名建築を訪ねるシリーズです。
千葉県千葉市中央区松波にあります集合住宅 コルテ松波です。
外観のみの撮影です。
設計は、篠原聡子先生です。
篠原聡子先生がArchitects magazineのなかで、コルテ松波が、現在 日本女子大学学長である自身の設計の原点であると言っておられましたのを読み、見学してきました。
住宅特集に1994年8月号に発表され、リノベーションされたのち、2011年グッドデザイン賞を受賞しています。
篠原聡子先生は、『2014年日本建築学会作品賞 SHARE yaraicho』へとつながる、さまざまな計画で集合住宅のありかたを研究・実践されている先生です。
大変勉強になります。
当初のデザインでは、外壁の塗装色が紺色と黄色、白、グレーという片岡の好きな取り合わせで大変印象深いデザインでした。
リノベのとき、現在の色に塗装されなおしています。
左隣に建っている集合住宅は、同設計のRIGATO Fです。
社宅と賃貸住宅の篠原聡子先生の設計アプローチの違いを、実作で隣り合わせで比較出来てたのしいです。
勉強になります。
竣工から15年後に、社員寮として使われていたワンルームマンションを一般賃貸にするにあたって改修されています。
ファサードに設けられた住戸の手摺は、プランターが設置できるようになっています。
目隠しをしつつ生活の溢れ出した表情を作り出す演出だそうです。
4階で横桟手摺のみの廊下手摺事例はとても少ないと思います。集合住宅で現行法では、確認申請時指摘を受ける可能性があると思います。
どのような感じなのか登って確かめてみたいですが、私有地ですので、それはできません。
新建築 1998年10月号に発表されたRIGATO Fのなかで篠原聡子先生は、
コルテ松波の場合、最初からある会社の社員寮として使用されることが決定していたので、防犯やプライバシーについてわりに楽観的に考えていた。
と書かれています。
不特定多数の賃貸住宅とは性格が異なり、社員寮として積極的に居住者同士のコミュニケーションを図ろうと促す装置として、対面配置として、中庭には、街路を引き込む効果をえられる計画とされています。
賃貸集合住宅と社員寮の違いのとらえ方として、大変勉強になります。
4階 渡り廊下部分に布団が干されています。
バルコニー物干しスペースが無いのでこのような活用がされています。
1階の3部屋をポストルーム、ランドリールーム、なべルームというコモンスペースにして、住人の集える場所として改修しています。
中庭を白い壁で囲い、大きなリビングのように見立てることで、共用部全体が居場所となるように意図されています。