住宅/ビル/マンションのデザイン建築設計事務所をしている片岡直樹が向学のために名建築を訪ねるシリーズです。
埼玉県大宮市にあります芝浦工業大学斎藤記念館です。
事前に予約させて頂き、許可を頂いた範囲で撮影させて頂きました。
設計は、芝浦工業大学教授をされていた相田武文先生です。
新建築1991年1月号に発表されています。さいたま景観賞を受賞されています。
芝浦工業大学 斉藤記念館は、芝浦工業大学機械工学科第二学科元教授の斎藤雄三先生の寄付で建設されたそうです。
芝浦工業大学機械工学科第二学科の中興の祖である斎藤雄三先生の徳の高い人間性を感じます。
斎藤雄三先生とは、ネットで先生を探してみました。
史料に見る芝浦工業大学⑮2008年8・9月号 をみつけました。
を拝読させていただきました。
斎藤雄三先生は、日本の印刷技術の近代化に貢献された方で、晩年に私財9億円を芝浦工業大学に寄付されて斎藤記念館が建立されたそうです。
人のために行動できる徳の高い斎藤雄三先生に自然と頭がさがります。
サルーンスペース外観
1階展示スペース
45度に切り取られたコンクリート打放し壁は、空間に動きや流れを与える意図があるそうです。
平行系の壁
南側外観
平置された壁面が、光の変化によってさまざまな陰影を織りなします。
自立したコンクリート打放し壁
アルミパネルの壁
展示用の白色の壁
鉄骨柱
が外部に連続して列柱として並置されています。
相田武文先生は、新建築1991年1月号の解説の一文で、
『建築空間の体験にしても、とかく表層的なものに眼を奪われ、その建築が本来的に持っている建築を構成する構造を見落としがちになる。』
と書かれております。
ファサード建築とは一線を画した、独自の壁の構成の美しさを実現しています。
平置された列柱
壁は鋭敏な線のように、ときには重厚な壁そのものの質感を表出し、観察者の動きに応じて変化するものとしてあるとのことです。
2階 廊下 両側の部屋は会議室
相田武文先生は、片岡が学生時代 建築課題のとき、壁の構成が美しい建築家として、非常勤講師の先生から参考になるからと見学をすすめられた建築家です。
東京都戦没者霊苑を見学したことがあります。
相田武文先生は、当時の日大理工海洋建築の建築デザインで、リスペクトされていた建築家です。
当時は、CADでなく手書きが主流の時代なので、フォトショップなどの画層 レイヤーという考えが普及していなかったと思います。
そんな時代に、並列した列柱が重層的に構成された建築の空間体験は、とても衝撃的でした。
芝浦工業大学斎藤記念館
web:https://www.shibaura-it.ac.jp/access/omiya.html
住所:埼玉県さいたま市見沼区深作307