住宅/ビル/マンションのデザイン建築設計事務所をしている片岡直樹が向学のために名建築を訪ねるシリーズです。
茨城県日立市にありますK本社ビルです。
外観のみの撮影です。
設計は、妹島和世先生です。
このアルミサッシのガラスカーテンウォールの特徴は、層部分のスパンドレルの分割が無い事だと思います。
1500㎡の面積区画による防火区画に接する外壁の規定でスパンドレルが必要になると思います。
既製品のアルミサッシのガラスカーテンウォールの防火規定では、スパンドレル部分の準耐火構造以上の耐火パネルが必要になり、その際に、無目の分割が入ります。ガラスの高さ制限が2700です。
階層を一つのガラスパネルで作ることが出来ません。
片岡は、福岡天神でオフィスビルの計画があり、オフィスビルのガラスカーテンウォールのスパンドレルを回避する方法の研究と勉強をしています。
エントランス
開口部をパネルとすることで、 開口部とFIX部の縦枠の見付の変化が無いように見せています。
勉強になります。
アルミサッシのガラスカーテンウォールでは、開口部とFIX部の枠違いが目立たない既製品ガラスウォールもありますが、当時は無いと思いますので、この方法がとられたのだと思います。
駐車スペースのため、鉄骨ラーメン構造で層間が狭いです。短柱に見えますが、鉄骨造なので良いのだと思います。
西側からはスロープとスキップフロアで半地下がつくられていて駐車場になっています。
ピロティ形式のように見えますが、鉄骨造純ラーメン構造だと思いますので、合理性と安心感があります。
ガラスカーテンウォール壁面よりピロティの柱梁は奥まっています。
屋上は、パラペット立ち上がりまでガラスカーテンウォールが連続しています。
道路に面さない隣地駐車場側外壁です。パネルとガラスのカーテンウォールがシンプルで綺麗です。
この面にもガラスカーテンウォールが使われていてリッチなデザインがかっこいいです。
コストダウンで安易にALCパネルにしないところがさすがです。
3面が同じガラスとパネルのカーテンウォールで、残りの1面だけで、換気など設備が取りつく壁面を処理しています。
屋外直通階段がついています。
外壁と階段の間に竪樋を通しています。
レンタブル比向上のため、床面積を稼ごうと思うと、なかなか外壁と階段の間に竪樋を通そうとは思わないと思います。
折り返し階段でプランをまとめると、整形なフロアが確保できる部分が減るので、階段長さが確保できるこの敷地では、1方向にして階段を寄せているのだと思います。
勉強になります。
法令条件が異なるので、取り入れるのが難しい部分もありますが、片岡が設計計画している鉄骨造オフィスビルの参考になるディテールがたくさんあり、とても興味深く見学できました。
以上、〈K本社ビル|茨城県の有名建築|住宅/ビル/マンション設計者の建もの探訪〉という話題でした。
それでは、また。
所在地:茨城県日立市幸町2丁目1-10