住宅/ビル/マンションのデザイン建築設計事務所をしている片岡直樹が向学のために名建築を訪ねるシリーズです。
栃木県那須塩原市にある図書館です。
私は、駅前に図書館を設ける事例を見学する機会が何度かありました。
今頃気づいたのですが、駅前におしゃれな図書館をもうけるというこのプログラムは、駅前を活性化させるのに実感としてとても役立つことがわかりました。
設計は伊藤麻里先生です。新建築2020年11月・GAjapan2020年11月-12月167号に発表されました。
1階 西那須野方面 エントランス 風除室
風除室のスペースが三角です。外ドアと内ドアの距離が短すぎて2つのドアが同時に空いている時間が長いです。
ブックウォールが内部と外部で連続しています。
1階 西那須野方面エントランス
書棚の中から階段がカーブして表れる表現がすばらしいです。
1階 ニュースエリア
1階 新聞 ニュースエリア
見通しの良い背板を抜いた書棚
1階 森のポケット
吹き抜けて見上げると2階のルーバー天井が見えます。
竪穴区画の防火区画シャッターが隠れていますが、天井ルーバーのスリットと合わさってランダムな天井の区切りが、さらに目立たない作りにみえることに気づきました。
勉強になります。
1階 森のポケット がいこくのおはなし 文庫・幼年童話 展示コーナー
1階 児童図書(6~13歳対象) まなぶ本
1階 カフェ
書棚の文字の切り出しは、イベントとしてつけられているようです。
1階 森のポケット 美術・工芸(折り紙・クラフトなど)
1階 黒磯駅方面のエントランスから総合カウンター方向の眺め
天井:軽量鉄骨天井下地 素地 表し 一部ガラスクロス巻きグラスウール t50
床:コンクリートt100 金コテ浸透性表面硬化剤塗布
1階は市民が通り抜けられる活動の場というコンセプトがあるそうです。
天井の表し下地野縁と野縁受@450のグリッドが、2階床を支える鉄骨梁のグリッドと合わないのが写真を撮っていて気になりました。
これは屋根架構が多角形平面なことからくるむずかしさであることが勉強になります。
1階 児童図書(0~5歳対象) えほん・にほんのおはなし
1階 黒磯駅側エントランス 階段
森のポケット 黒磯駅側エントランスの階段2階部分
2階 黒磯駅側 開架図書室
複雑な多面体でルーバーの方向が一方向にそろえられています。天井の角度とルーバーのピッチで差異を表現しています。
なかなかこのように大規模で角度をつけたルーバー天井は無いと思います。
2階 森のポケット
吹き抜け部は四隅にステンレス鏡面t1.5の防火区画シャッターレールがあります。
吹き抜け2階床面の小口:ケイカル板t8LGS下地 ステンレス鏡面t1.0接着貼り
2階天井
天井ルーバーは単板積層材LVLt15(W75W155W125)オイルステインウレタンクリア
準不燃加工
下地:野縁角スタッド65 ST L-100*50*2.3
2階 アクティブラーニングスペース
屋根伏せを見るとたくさんトップライトの開口があるのかと思いきや、とても少ないトップライト開口で木漏れ日の表現をされています。
とても効果的ですばらしいです。勉強になります。
2階 開架エリア
閉架・集密書庫
鏡面ステンレスのシャッターレールとくぐり戸が天井まで伸びています。
床:システム置床組H400パーティクルボードt20タイルカーペットt8
タイルカーペットと書棚と天井ルーバーが茶系でまとめられて壁の一部がグレーになっています。とても上品で落ち着いた雰囲気を演出しています。
2階 森のポケット 南側階段
この竪穴部分はシャッターによる防火区画でなく壁で仕切られています。開口部は防火設備仕様のようです。
2階 森のポケット 南側階段
黒磯駅側外観
西那須野方面外観
デザインコンセプトは、ポリゴン分解された多面体の屋根だそうです。
連続する樹冠の下端=リーフラインが屋根のエッジラインのコンセプトに合っています。
屋根と壁の納まりが複雑ですごいです。ただ、軒が勝つ納まりなので雨仕舞はとても良いと思われます。
那須塩原図書館みるる
この情報は2022年7月の情報です。
住所:〒325-0056 栃木県那須塩原市本町1−1〒325-0056 栃木県那須塩原市本町1−1
[TEL] 0287-63-9031
[FAX] 0287-60-1161
[交通案内] JR黒磯駅より徒歩1分
[駐車場] 有り
[駐輪場] 有り
[開館時間] 火〜金 10:00〜21:00/土・日・祝日 10:00〜18:00
[休館日] 毎週月曜日(ただし祝日の場合は開館、翌平日が休館)、特別整理期間、12/31~1/3