住宅/ビル/マンションのデザイン建築設計事務所をしている片岡直樹が向学のために名建築を訪ねるシリーズです。
群馬県農業技術センターは、群馬県伊勢崎市に立地する農業に関する研究・実験を行う施設です。 日野雅司 先生 +栃澤麻利 先生 +安原幹 先生 (SALHAUS) による設計です。コンペの当選案の段階で衝撃的な屋根構造がとても魅力的で大変興味深かった名建築です。
さまざまな困難を乗り越えて獲得した芸術性がだれにでも感じられる。木を使った素晴らしい建物だと思います。感動しました。
グッドデザイン賞 BCS賞などを受賞しています。2010年6月号に新建築で発表されています。
東側外観手前が本棟 奥が会議棟
外観からは、木を使っているようには見えませんが、内部空間に入りますと、とんでもなく素晴らしい木構造が用いられていることがわかります。
東側外観
大屋根の見上げに木の格子状の膜構造がみえます。木格子膜構造という新しい架構形式だそうです。
西側外観
南側外観
本棟 本路 東側鉄骨柱(圧縮材)とテンションロッド(引張材)屋根端部納まり
南面からの 本棟 本路 東側鉄骨柱(圧縮材)とテンションロッド(引張材)屋根端部納まり
本棟 北東側 小会議室側 連続する屋根面と外壁の取り合い
本棟 エントランス 玄関前
会議棟妻面
本棟 テンションロッド引張材 柱 圧縮材と外壁のディテール
まねのできない珍しい構造形式ですので大変勉強になります。
会議棟 エントランス南東側妻面ディテール
会議棟南側外観 テンションロッド 鉄骨柱 外壁ディテール
会議棟 南東側妻面
会議棟 東側エントランス
私の下手な写真ではこの素晴らしさがまったく伝わらないかと存じますが、丹下健三先生の代表作として名高い代々木体育館の吊構造を想起させる素晴らしいフォルムだと思います。
会議棟駐車場側外観
短編方向の鉄骨フレームにテント膜のようにかけ渡す加工方式ですが、屋根頂部高さ、平面プランに従った膜屋根のひろがりが、とても複雑な設計になっていると思われます。長辺方向の水平力の拘束は鉄骨柱に依存しているのでしょうか。
会議棟 東側軒下
桁stH340*250*9*14と柱stΦ267.4の接合 木梁受け stコ250*90*11*4.5
木梁の張力導入ボルトが見えます。
東側外観 駐車場側手前が会議棟 奥が本棟
1階玄関ホール 左手廊下
吹き抜けの見上げに木格子膜構造の大屋根が見えます。
2階より実験・研究室をガラス壁越しに見ることが出来ます。ガラス壁が大屋根の木格子膜構造が連続していく様子を近くで見ることが出来ます。
素晴らしい空間体験です。
大屋根は「格子膜構造」と呼ぶ小断面製材を格子状に組み合わせた架構方法だそうです。2階のあがると大屋根の構造が近くに迫ってきます。素晴らしいです。
地元県産材の材取りが考慮された木梁 杉製材75*90だそうです。 継手 st pl t6 ドリフトピンΦ12のようです。
断面90×75mm,長さ4mの県産スギ材を最大で6本繋ぎ1本の梁としているそうです。梁せいが感じられないので非構造のカーテンのように見えます。
鉄骨柱をつなぐ棟梁は、stコ380*100*13*20ダブル つなぎ材 stpl 25*230@455だそうです。
2階 多目的スペース付近
面剛性を確保するために,上弦梁と下弦梁を格子状に組んだ.梁を,桁にある木梁受けで受け,張力導入用ボルトで引っ張り最大スパン23mを覆っているそうです。
丹下健三先生の代々木体育館の木造版のような印象を受け、ダイナミックな大屋根に圧倒されます。
2階 開架書庫と中会議室の間の吹き抜け部分
大屋根と圧縮材の鉄骨柱の構成が眺められます。
大屋根の構造が迫る 2階から大きな事務室空間を見下ろすと圧巻です。
1階 事務室 技術相談コーナー 玄関
大屋根の鉄骨圧縮柱stΦ216.3や木構造の力の流れ 屋根形状と構造形式がトゥルー(真実)な素晴らしい空間です。
1階 事務室
大屋根と独立した圧縮材鉄骨柱が眺められ奥には妻面のガラスカーテンウォールがみえます。
1階 事務室 北西側妻面からの見返し
ダイナミックな大屋根がとても素晴らしいです。
最新の情報は、群馬県農業技術センターのホームページをご覧ください。
住所: 〒379-2224 伊勢崎市西小保方町493
TEL: 0270-62-1021
FAX: 0270-62-2297
建物見学のためのホームページがあります。下記のリンクをご覧ください。
農業技術センター(本所本館)の建築物見学について
- 建築関係の業者及び学生の皆様には、平成25年1月25日に竣工した本館建物を見学いただけます。
- 事前に電話での申し込みがないと見学できません。
建築物見学申込手続き
- 見学を希望する場合は、来所する前に必ず電話で日時、人数、代表者名、所属名をお伝えいただき、受け入れの可否を確認の上お越し下さい。大人数の場合は建物内部の見学を遠慮いただいています。
- 見学は平日の午前9時から午後4時までですが、業務の都合等で受け入れできないこともあります。
- 当日は担当職員の案内に従って見学いただきますようお願いします。
見学についての問い合わせ・連絡先
農業技術センター企画部企画連携係
電話(係直通):0270-30-7799 FAX:0270-63-3609
Email:nogisen@pref.gunma.lg.jp(代表メール)