
致道館 | 国指定史跡庄内藩校からの外観
住宅/ビル/マンションのデザイン建築設計事務所をしている片岡直樹が向学のために名建築を訪ねるシリーズです。
庄内藩酒井家九代忠徳(ただあり)が文化二年(1805年)に創設して、文化十三年(1816年)十代忠器(ただかた)によって鶴ケ岡城三の丸内の現在地に移設された致道館と建築界のノーベル賞といわれるプリツカー賞受賞建築家ユニットSANAA(サナア)妹島和世先生と西沢立衛先生による設計の荘銀タクトのコントラストが美しいです。
新建築2018年1月号で発表されています。この年一番の話題作ではないでしょうか。
荘銀タクト鶴岡は、ただの文化会館ではありません。これからの鶴岡が、人が集まる街として生き残るために機能する建築です。

市役所側エントランスへの眺め
荘銀タクト鶴岡のサインがタクトと建物外観がかかったデザインにみえてかっこいいです。

練習室1前のホワイエと庇
軒下の鉄骨梁架構とポスト丸柱が見えています。

アートフォーラム側エントランス|小ホールの外観
とても複雑な曲線の屋根勾配です。

致道館からの眺め
特徴的なダイナミックな屋根の構成です。周辺の山並みに呼応したすばらしいデザインです。 ビルバオ・グッゲンハイム美術館 を思わせてくれます。よく見ると複雑な曲線屋根は縦ハゼがつぶれるほどシワがよっている部分がありました。この問題が地元紙で取り上げられ話題になっているようです。

小ホール外装

致道館の庭と大ホール前のホワイエ
L形に致道館を囲う部分に庭が眺められるホワイエがあります。

大ホール2階への階段
自立した波型のついたてスクリーンがカッコいいです。

ホワイエからアートフォーラム側エントランスの眺め
最近のホールの床仕上げはコンクリート硬化剤磨き仕上げが多いです。
ちょっとここで話が変わりますが、同じ床仕上げの片岡が見学してきた建物をご紹介させてください。
なかまちテラス (小平市立仲町公民館・仲町図書館)|住宅/ビル/マンション設計者の建もの探訪

こちらは同じく妹島和世先生のなかまちテラスはヒビ割れが起きていました。
市立米沢図書館・ナセBA・よねざわ市民ギャラリー|住宅/ビル/マンション設計者の建もの探訪

こちらは組織事務所の山下設計さんの図書館ですが、誘発目地があるためコンクリート硬化剤磨き仕上げ面でのひび割れは無い様でした。
太田市民会館|住宅/ビル/マンション設計者の建もの探訪

香山壽夫先生 設計の太田市民会館では当初目地無しのコンクリート硬化剤磨き仕上げでしたが、床のヒビ割れが問題になり、補修してカッター目地の誘発目地が後から入れられたようです。
秋葉区文化会館|住宅/ビル/マンション設計者の建もの探訪

目地を入れることを善しとしない建築家の美意識があるなかで 、目地無しのコンクリート硬化剤磨き仕上げ は、公共建築で市民の皆さんの理解を得ることが難しい仕上げだと思います。
荘銀タクト鶴岡の紹介にもどります。

ホワイエからアートフォーラム側エントランスの眺め 右手は致道館の庭

市役所側エントランス前の 大ホール への階段

市役所側エントランスからホワイエ

ホワイエ2階の大ホール通路

事務室と大ホールの間の通路

大ホール東から西への眺め
左右非対称のホールです。

大ホール南から東への眺め

大ホール東から西への眺め

大ホール南から舞台への眺め

撮影時に屋根メンテナンスが行われていました。
現地では費用のことなどで、この建物について賛否両論があるようです。
荘銀タクト鶴岡が鶴岡の新しいランドマークとなり、平凡な地方都市から脱却することを願う鶴岡市の人々にとって、このプロジェクトは目的を達成して大成功していると私は思います。
ジェネリック都市に陥らない街づくり
不動産系youtubeによく出演しているオラガ総研 代表 牧野知弘さんが言っていた言葉です。
それぞれの街のコンテンツを確立したところが人を集めます。その街を『プラウド』に思う。自分はこの街の住人なんだと誇れる街が残ります。リモートワークが広がれば、自分が住んでいるまわりに関心を持つような社会が広がります。
荘銀タクト鶴岡|コンサートホール|鶴岡市文化会館
所在地: 〒997-0035 山形県鶴岡市馬場町11−61
電話番号: 0235-24-5188
URL:https://tact-tsuruoka.jp/
この情報は、2019年10月の情報です。詳しくは荘銀タクト鶴岡のホームページをご覧ください。