住宅/ビル/マンションのデザイン建築設計事務所をしている片岡直樹が向学のために名建築を訪ねるシリーズです。山形県村山市にあります高宮眞介先生による設計の最上川美術館・真下慶治記念館(旧真下慶治記念美術館)を見学してきました。職員の方の許可を頂き外観と美術品を映さない内部撮影をさせて頂きました。新建築 2006年3月号に発表された作品です。 私にとってお手本としたい大変すばらしい設計で写真を割愛できないので、今回は前後編の2部構成となっています。
最上川美術館・真下慶治記念館|住宅/ビル/マンション設計者の建もの探訪(後編)
アプローチ アプローチ アプローチ エントランス 風除室 事務室前 企画展示室 森林学習室 この棟は片流れ屋根の木造です。張弦張り構造です。下弦材が化粧LVL板になっています。下弦材に照明を取り付け、間接照明とすることで温かみのある空間を演出しているようです。大規模木造の有名な会社で、山形県の株式会社シェルターのKES構法のようです。張弦張りの弦を細いロッドでなく板にしているところが特徴的だと思います。こうすることで束が目立たなくなり下弦材の板が目立つのだと気づきました。 張弦張り構造というと高宮先生は日大系列なので構造家の斎藤公男先生がいますが関係しているのでしょうか。 株式会社シェルターのKES構法ホームページのリンク→http://www.shelter.jp/technical/kes 企画展示室 森林学習室 森林学習室 森林学習室 森林学習室 交流棟森林学習室前のサッシ 交流棟森林学習室前のサッシ 交流棟森林学習室前のサッシ 交流棟森林学習室 天井材のように見えますが、これは張弦梁構造の下弦材です。そう考えますとあまり見えない昇り梁の梁せいが低く抑えられても、もっと低く天井で抑えられているように見えるのは、天井を高く見せることをあえてやめているとも受け取れます。弦をロッドにすると高い傾斜天井が表れると思いますが、そうはしていません。天井を高く見せることだけが良いとは限らないということだと思います。意匠と構造のバランスのとり方が大変勉強になります。 交流棟森林学習室 交流棟森林学習室 交流棟森林学習室 よくよく考えてみますと、木造ですが布基礎の立ち上がり部がありません。立ち上がり部まで羽目板を貼り下ろしているのでしょうか。開口枠の下端の破損が少し進んでいるように見えますが、ここは雪深い地域ですので本来こんな少ない破損では済まないように思います。なにか工夫があるのでしょうか。わかりません。 交流棟森林学習室 よくよく考えてみますと、この建物は木造片流れ屋根で妻面と桁行方向水上側外壁は羽目板仕上げなのに軒がありません。雪の多い地域の木造の美術館でこれは攻めすぎではと思いました。羽目板のサネがそりで飛んで暴れています。 交流棟森林学習室 私の下手な写真ではこの素晴らしい空間構成の感動がまったく伝わないのが残念です。山の上にのぼりここにきてはじめて眺めることのできるこの景色は、この建物の最大のハイライトです。生涯にわたり最上川の景勝を描き続けた真下慶治画伯の大淀の大蛇行を高宮先生も建築で描いているようです。大変すばらしいです。 ウィキペディアによりますと、やまがた景観 物語おすすめビューポイント33″の1つにも選ばれているそうです。 ラウンジ ラウンジから展示棟真下慶治常設展示室側 向かって左手の展示棟は鉄筋コンクリート造です。外壁はRC納まりなのでガラス枠がのみ込まれています。右手の袖壁は木造なのですが、直交する壁を立てることで枠がのみ込まれたような表現になっています。大変勉強になります。 展示棟真下慶治常設展示室 展示棟真下慶治常設展示室 展示棟真下慶治常設展示室留部開口ディテール よろしければ後編もご覧いただければ幸いです。
最上川美術館・真下慶治記念館|住宅/ビル/マンション設計者の建もの探訪(後編)
最上川美術館・真下慶治記念美術館
公式ホームページ http://www.massimo-k.org/p_murayama/index.html
住所
〒995-0054 山形県村山市大字大淀1084-1 電話:0237-52-3195 FAX:0237-55-2152
ご利用案内
開館時間 | 午前9時~午後5時(入館は午後4時30分まで) |
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休館日 | 毎週水曜日(祝日の場合は翌日)・年末年始 |
入館料 | 大人300円、小中学生150円 (15名以上の団体は大人250円、小中学生100円) |
駐車場
30台 無料 上記の情報は2018/10/19に収集した情報です。詳しくは公式ホームページをご覧ください。